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治療家冥利に尽きるってゆうのはこうゆうことかなって感じその2「7ミリの生命」

現在38歳、結婚して10年目でやっとできた待望の第一子。

 夫婦とも子供好きで3人でも4人でも沢山欲しい、できたら双子でもいいという願いがなかなか叶えられず、第一子が三歳が過ぎた今も未だ二人目の子が出来ないと話していたのがついひとつ気前。
それまで何回か兆候はあったがその都度無化喜びだったので、検査して確実だとわかってから話してくれ、と夫婦の間には見えない隙間風が?…

 腰痛のため、当院に来院したのは10月上旬。丁度ひと月が過ぎた。
その間治療回数15・6回。(カルテを見直していないので不確実)平均一日おきに治療を施したことになる。
前回にも書いたように、腰痛以外にも集中力・薄毛・前立腺・過活膀胱のような症状・それに男性機能低下などなど、合わせていつつの疾病に対処するということはコレ半端な作業ではない!
普通どの患者さんも二・三箇所の疾病の対応は実施しているが、今回のように五つの疾病、それにこともあろうに「薄毛」は特に難しい症状である。いや 毛髪は毛髪でも「円形脱毛症」の場合はこれ治療効果が顕著に現れるものではあるが、薄毛の場合は正直言ってなかなか難しい分野である。
幸い過活膀胱と男性機能の治療はほぼ同一くらいの箇所に「つぼ」が分布してるので、これはそんなに難しくはない。それに、腰痛の治療に関しても、鼠径部付近の「つぼ」は必須であることからして、患者さんがその気になってくれさえすれば、治療家の立場で真剣に取り組むだけである。
いくら治療かとはいっても、その治療を施すかどうかは、私独自の判断で決めることである。決める判断材料は、患者さんの人間性が何より一番大事。過去に数え切れないほどの患者さんと接してきたが、はじめっから疑ってかかっている人は治療効果が半減する。(まじめな笑い話)
そうゆうことなのでそうゆう患者さんに対しては最初っからその治療法は取り入れない。
治療かと患者の信頼関係は何より大切である。
経絡治療は「気の調整」なのだから、気が進まなかったり・疑ってかかっていたり・最初っからだめかもしれないと疑心暗鬼になっていたら、「銀鍼」の先からそれが伝わってしまう。患者さんがその症状の苦しみがどの程度なのかは、問診と脈診で知る以外ないが、実際のところそれは患者さん自身にしかわからない。
だから現実の苦しみから脱出できるのだったらと、患者さん自身が腹を決めるしかない。やるかやらないか、受けてみるかやめるか・賭けてみるか否かはあくまでも患者さんが決めること。



 今回この患者さんは、穏やかで素直そうな性格と紹介してくれた人の話をまじめに受け止めているということからして、最初っから私の心にすんなり入り込んできた。
エルモにも何気なく家族のような声がけをしてくれていた。
何より長年腰痛で苦しんでいた我が家の息子と重なってしまう。「でたでたでた! コレが私の弱点!」いや コレが私の良いところ! このように苦しんでいる患者さんはたいてい私の家族のように重なってしまうのである。そして、それが私の大きなパワーになっているようだ。
すんなりと私の懐に入ってきてくれた患者さんは、いろんな意味で無限にそのパワーが増大してゆく。
少しでもその苦しみから解放してあげたいという気持ちが大きくなり、治療に対する意気込み・事前の調べ物・料金の設定・時間の調整・などなどが変化してゆく。
今回この患者さんは、約一日おきくらいに来院しているので、治療費の負担を軽減してあげたいと考えた。現在定期的に通院してくれている患者さんには全員そうしている。
だがこの患者さんの場合、主訴が五つもあることからして、その治療に要する時間と、全身の重要穴の数の多さと、鍼とお灸の数も半端ではないことからして、どうしようと考えた。
価格の調整より何より大事なのは、訴えている症状がイカに緩和されるかの法が断然重要なことだから。
先ずは誠心誠意体当たりしてみるしかない!
そして、その考えを患者さんに直接話をしてみたところ、「こんなに丁寧にやってもらって一回一回良くなってゆくのがわかるので、本当にこの料金でいいんですか、 俺は先生に賭けているんだからかかった分だけ言ってください」と心強い言葉。
実際のところ、治療費は家計に大きく負担がかかっているだろうことは容易にわかる。
それでも、きちんと定期的に通院してくれるということは、それだけこの治療に賭けてくれているということが実感される。
一日おきに午後の6時半から約8時ころまで、私自身全然疲れを感じないどころか、それがむしろ治療かとしての生きがいをも感じている。
秋の夜長、カルテにその様子を記載しながら仕事に対する充実感を満喫している。


 「腎虚肝実症」(じんきょかんじつ症)…著しい腎虚症は、男性機能を衰えさせ、泌尿食器系への異常が起き、毛髪への悪影響を起こしていた厳然たる証拠である。
これらの症状は持って生まれた生命力の低下によって起きたもの。コレを改善するのは、虚していた腎に補法を施すことである。
肝実症(かんじつ症)は、肝は、痛みと睡眠と疲労をつかさどっている。腰の痛み・不眠・によって夜昼が反転し、自律神経のバランスをも崩して、集中力が失われたのである。
次に実し過ぎていた肝を、平らにしなければいけない。また実施過ぎた肝は、腎に悪さをして、さらに腎虚を引き起こしていた。
実過ぎた肝臓を平らにし、虚過ぎた腎臓の力を与え、このふたつの極端な症状を平らにすることによって、その他の全ての臓器が協力し合い、平らになり、正常な働きをするようになるという治療法を行ったのである。
全身の五臓六腑を拠点にしてそれぞれに担当している働きがあり、それらの働きが平等にそれぞれ協力し合って働いてくれているときが健康状態なのである。そしてさらにその働きが強化されて自然治癒力が高まれば免疫力アップになり、健康な状態で過ごせるようになる。
と頭で考えるのは簡単だが、実際のところ患者さんの体がその通りに反応してくれるとは限らない。
それはそれはその都度その都度千差万別であり、今回のようにこんなにとんとん拍子で改善されることばかりではないことも付け加えておく。
ひとつだけ自信を持っていえるのは、今回の患者さんは、腰痛が起きてから短期間で治療を開始したこと、それに、そのほかの症状に対しても真剣に悩んでいたこと、それを改善したくて、真剣に治療に取り組んでくれたこと。
これらのことは全て治療効果を高める確かな要因である。
腰痛以外の症状に関してはかなり前からのものだったらしいので、一か八かやってみるしかないと本当のところ見切り発車的な部分があったことも確かである。
ところがところが五臓六腑の基本が協力し合って働くようになったため、そのほかの症状も次々と改善されていったのだと思う。そう 勿論毛髪もしっかりしてボリュームが出てきたというときの患者さんの顔が…白い歯が見えるよう…
鍼を施しているときにもその毛髪の存在が邪魔になってきていることからして実感する。




 そして夕部、治療中に突然話題が変わった「冬の除雪とか雪下ろしはどうしてるんですか」と
それはあまりの突然の質問だったので「ん?」と思ったが、次の瞬間二年続いた雪との悪夢のような話が私の口から次々と飛び出した。「ウン ウン ウン」と黙ってうなずいて聞いていたその患者さん、私の話が大体終わったころを見計らって「俺でよかったら手伝います」といって私の携帯電話に番号を登録してくれていった。
ソリャ誰でもどこでも除雪作業をしてくれる人が足りなくてにっちもさっちもいかない世の中である現状であることは私もとっくの昔にご承知である。
最後に「優先順位は俺が決めるのだから、俺にだって選ぶ建里がある」って大笑いしていたが、それではそれまでになにわともあれ腰を直しておかなきゃね!と最後の落ちがよろしいようで…。
最後に残したその言葉が頭の中を駆け巡り、私の目と口元がだらしなく緩んでいることをどうしようもなかった…
 後は 7ミリの生命が母体の中で健やかに育ってくれることを願うのみ





更に増大する不思議なパワー!
by wappagamama | 2015-11-10 11:30
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