あの悪条件の中、よくもエルモは迷いもせずに「障害学習センター」まで私を誘導してくれた! あの悪条件の中、エルモはお仕事意識バッチリととても頼もしく、とてもかっこよかった! に比べ、鼻水拭き吹きとてもかっこ悪い私とは正反対のまるでエルモは「雪の精」のようだった。同行している人を頼りにして歩いていたときのエルモとはまるで雲泥の差だった。 逆に言えば、同行者を頼りにせずに自力で歩こうとした私の気持ちがエルモはチャントキャッチしてくれたのだということがはっきりした。 このことひとつを取り上げて見ても、いかに私がエルモをだめにしていたかがわかる。 今回の「期日前投票」はそんな意味でも大変貴重な体験だった。 と感症に浸っていたのはそこまで。 投票を済ませ、途中ホテルへ寄ってランチを済ませてから返ろうと帰りのコースを変えたのが事件のはじまりだった。 裏道を通ってきたので気が付かなかったが、ホテルまでの道は歩道とアーケードになっているので雪の障害は免れるものと思って歩き始めた。 そもそもそれが大きな間違いの元だった。 エルモの動きが止まった。 歩道に向いているのに 動かない。 後ろについてきていた弱視の友人があわてている。 歩道がないとのこと。 そう 頼りの歩道には雪がドッサリ積もっていて、人の歩いた形跡がないとのこと。 そうだったんです、日曜日だったため、福祉事務所も、商店もお休みで歩道の除雪はしていなかったのです。 仕方がないので車道を歩くしかありません。 その車道も道幅が狭いため非常に危険な状態のようです。 ホテルまでは慣れた道でもあるのでどうにかなるだろうくらいの気持ちといざとなれば弱視のサポートがいるという、安易な気持ちがかつてない経験へと導いて行った。 弱視だからと思って安心していた私もうかつだったが、その弱視のサポーターの動きがおかしい。 銀世界となってしまった町並みは、その弱視のサポーターさんにとっては、全てが真っ白に見えて全く感覚がなくなってしまったようだ。 「ちょっとまって ちょっとまって」 といいながらあっちへ行ったりこっちへ戻ったりと怪しげな動きになっている。 それでも それほど見えていないともわからないで私は後から付いて行くしかなかった。 「えっ? 今どこ歩いているの?」と聞いても「真っ白で見えない見えない チョット待って」というだけで、現在地がわからなくなってしまった。 視覚障害者だけで歩くときはお互いのことはお互いに責任を持って歩かなければいけない。 たとえ何があったとしても、それは自分の責任で型をつけなければいけない。 そんなことは今までにも何回となくあった。 考えて見れば、エルモと二人っきりで歩いていたときよりも、弱視のそのサポーターさんと一緒に行動していたときのほうが怪我をしている率が多い。 それはやはり、私自身が人を頼ろうとする気持ちがあるため、油断していたり、同行している人が盲導犬同伴のこちらの行動まで理解できないためにおきるトラブルが多い。 よくよく考えて見れば、エルモも私も自律歩行が衰えていった理由のひとつとなっているこの現実から逃れようとして、3年ほど前から私は行動を共にすることを頑なにやめた。 悪い習慣から脱皮しようと、真剣に苦しみ悩み脱皮に成功したのだった。 それなのに 今回また同じ過ちを繰り返そうとしてしまった。 人を頼りにしないで最初っ殻タクシーにすればこんなことはなかったのに… …。 「後悔あとをたたず」 膝した位の積雪がいつの間にか、膝の上まで来ている。 気づくとエルモの動きがおかしい。 「ピョンピョン」跳ねている。 そうかぁ 私の膝上まで雪があるということは、エルモにとっては顔が埋もれているはず。 前が見えなくなったエルモは、視界を求めて飛び跳ねているんだ。 ラッセル者状態のエルモ。 「アララララ 困ったなぁ 速く脱出しないと」とあわてている私に「妙ちゃん どご歩いてる?」と知り合いの声がした。 「エッここどこ?」と聞けばホテルへ向かっていたはずなのに、なんと方向が全く違がっていた。 そのとき初めて、同行していた弱視のサポーターさんの視力がこんな状況の中ではほとんど見えていないんだということがわかった。 親切心を、むげに断ることができなくて、同行した私の優柔不断な態度に、またまたあきれてしまう結果となってしまった。 人間関係の難しさ! 視障協関連では、お互い無視のできない立場にあるため、竹を割ったような付き合いは難しい。 されど、エルモとの関係が崩れるのはもっと重大な問題である。
by wappagamama
| 2012-12-12 13:11
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