Oちゃんがわたしを呼ぶとき、
Oちゃんが自分の居場所を教えるとき、
Oちゃんがわたしに何か見せたいとき、
そしてわたしに手を貸してもらいたいとき
そんな時いつもOちゃんは指ぱっちんをする
指ぱっちんの音のするほうに手を伸ばせばそこにはいつもOちゃんの手がある
大きくて暖かいその手は全国制覇を目指している若者のたくましい手
沖縄の写真のハンカチを見せようとしたときも、Oちゃんはわたしの手を取って説明してくれた
それもいつもの彼の自然なことばの延長線上
口琴の奏で方を教えてくれるときも、Oちゃんのその手は自然にことばと同調していた。
お別れのときOちゃんは最後の指パッチンヲシタ。
反射的に手を伸ばすとOちゃんは強くわたしの手を引き寄せた。
そしてその両手はわたしの肩に巻きついた。
「ギュッ」と抱きしめながら「おかあさんありがとう、行ってきます」と…