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老いた古民家の破壊音で、かつての住民の面影浮かぶ…

 通称(i先生がつけた名称)「猫屋敷」が空き家となって10年以上放置されていた。

もともとはかやぶきの平屋建ての古民家。
2百坪ほどの敷地内にはその昔、裕福な暮らしをしていたであろうことを思わせる、立派な庭が整備されていた。
立派な立ち木たちも最近は見るも無残な荒れ放題と成り・蛇でも出てきそうなほどのジャングルと化していた。
お陰で去年は、ひどい目にあった。
というのは、伸び放題伸びたその樹木たちに「あめしろ」が大発生したのだ。
ほんの数日のうちに、棗の木がスッポリ裸になってしまった。
その棗の木は、我が家の屋根の上までかかるほどの枝が伸びていて、あめしろたちが網戸をはっているという息子の話を聞いただけで、体がかゆくなって夜もおちおち眠れなくなったということがあった。
我が家の花壇は勿論、駐車場の草やらまであめしろが我が物顔で進入していた。
お陰で私は草無すりもできず、シルバー人材センターに頼んだということもあった。
北側の治療室から見える外の景色は、そんなわけでうっそうとしていてあまりありがたくない景色のようだった。 

 ところがつい最近、留守の日に郵便受けに、お断りの挨拶のチラシとたおるせっとが入っていた。
「まるまるばつざえもん邸 解体作業のためご迷惑をおかけします」
作業開始は、屋敷内の樹木の伐採から始まった。
伐採作業は3・4日ほどかかった老化、ソノ数ヶ月前には、庭石やブロック塀などが取り去られてあったので、樹木がなくなったとたん、我が家の治療室が道路から丸見えになってしまったらしい。
我が家の治療室は北側に、一間幅の床からの二重サッシ戸になっているが、南北に通っているソノ道路とは4・5件くらいしか奥まっていない。
真夏の寝苦しい夜などは、サッシ戸を少し開ければ、隣の森林を通り抜けてきた風邪が冷たくて気持ちよかった。
だが、これからはそんなことはできない。
視界をさえぎるものは何もなくなってしまった今、いくら年寄だといってもそんな無用心なことはできなくなってしまった。
それより何より、治療室の方の目隠しをしなければいけない。 
北側なので、ゴーヤーも育たないだろうし、へちまも同じだろうか?
すだれでも下げておくしかないかな?

 解体作業開始から二週間ほど経った今日、やっと大きな機会 重機?ユンボ?なんてゆうのかしらないけれど、金属製の大きな塊がほこりだらけの古い建物を破壊している音がしている。
お芝居でたとえれば、話の流れが見せ場に差し掛かったと言うところかな?
これぞほんとの解体作業ってとこかな?

ここまで来るのに二週間もの間何をしていたかと思うでしょ?
私自身も「あ そうなのかぁ? そうゆうことなのね?」と感心しながらソノ作業進行を聞き守っている?
1・家裁道具一切そのままになっていたらしく、家の中のそれらの道具から片付けていた。
2・その後、瀬戸物類・ガラス類などを一括して大きな硬い箱に投げ捨てた後、何か硬いものでたたいて砕いていた。
3・いよいよ重機が入るのかなと思っていたら、意外にも、トンカチか何かで「コンコンコン カンカンカン」と壊すというよりソノ反対のような音がしてきた。(不思議だな?)この音には理解ができなかった。解体とはいっても私には想像のつかない段取りがあるのだなということをチョット疑問に感じた。
それらの作業が終わった後、いよいよメンエメント「解体」。
長い歴史とさまざまな人の営みを知っているその老いた小民家が「バリバリ・ガリガリ・ギーギー」と悲鳴を上げて破壊されていく。
長い歴史が壊れて崩れていく音。
後数日するとこの隣の景色もスッカリ消えてなくなてしまうのだろう……。
私がここへ引っ越してきた19年前はまだソノお宅には老夫婦が暮らしていた。
それまで暮らしていたアパートの火災で、急遽越してきたこの家で、初めて声お掛けていただいたのがその奥さんだった。
いくらか視力が残っていたころなので、その温厚そうなご夫婦の顔も家の形も庭の様子も雰囲気は記憶に残っている。
今、ソノ家が破壊されていく音を聞きながら、その穏やかなご夫婦のおもかげと朝晩の規則正しい古い雨戸の開閉音や生活音がよみがえる。
by wappagamama | 2012-05-25 21:54
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