これは、北海道のある小学生が、盲導犬の事を勉強しているうちに、もっと多くの小学生に知ってもらいたいというおもいから、新聞として作って、コンクールに出展したものです。 その小学生の思いをこのブログに掲載します。 「北海道盲導犬新聞」 (見出し)盲導犬協会を見学ー盲導犬をもっと身近にー ここから記事が始まります。 (見出し)はじめに 私は5月30日に、札幌にある北海道盲導犬協会へ見学に行ってきました。 盲導犬協会に行ったきっかけは、私が5年生の頃に行われた盲導犬の授業でした。 そこには、協会の老犬ホーム担当の辻さんを始め、ユーザー(盲導犬を持っている方)さ ん、『北海道盲導犬物語』著者の菅井さんなどが来校し、盲導犬に関するお話を くわしく聞かせて下さいました。 その事をもっとたくさんの小学生に知ってもらいたいと思い、 盲導犬協会を訪ね、盲導犬についてのお話を聞いて来ました。 (見出し)盲導犬にふさわしい犬とは? 北海道盲導犬協会では最初に、盲導犬に関するお話と、クイズを行いました。 「盲導犬にとって一番大切なのは、頭がいい事?」と言う問題で、 答えは「頭がよいと、ずる賢くなり、あまりよくない」 でした。 そして、もう1つビックリする答えの問題がありました。 「盲導犬の訓練は厳しい?」と言う問題では、私は 「ユーザーさんの目の代わりになる、 大切で重要な役目をしているから、きっとすごい厳しいだろうな。」 と思っていましたが、それは大ハズレ。 その時、お話や説明をしてくれていた訓練士の加藤さんによると、 「訓練は厳しくありません。逆に、叱りすぎるとご主人が替わった時に、 ユーザーさんが指示を出しても、やらなくなってしまうのです。 なので、盲導犬は、ほめると、しかるをうまく使いながら育てていきます。」 と話していました。 (見出し)皆さんのご理解とご協力を! 最後の質問で、 「盲導犬は電車、バス、飛行機、旅館、レストランなど一緒に利用する事が出来る?」 と言う問題には、 平成14年に“身体障害者補助犬法”が施行され、補助犬(盲導犬、介助犬、聴導犬を 取りまとめた呼び方)を伴い、ユーザーさんは、公共施設、公共交通機関、民間施設など を利用する事が認められ、補助犬と共に積極的な社会参加をする 身体しょうがい者にとって、とても重要な法律となっているのにも関わらず、まだ “身体障害者補助犬法”を分かっていない人も多くいて、ユーザーさんが お店などに入れない場合もあります。 私は、この法律がもっとみんなに広まって、ユーザーさんが自由にお店に入れる社会に なってほしいと思いました。 (見出し)世界初!老犬ホーム クイズの後に、世界で初めて作られた老犬ホームと、訓練中の犬がいる犬舎を 見学しました。 老犬ホームには、盲導犬を引退した犬が現在2頭暮らしています。 また、老犬ホームにい犬は寝たきりになって介護が必要であったり、病気の為、治療を している犬が多くいるそうです。 そのため、犬のちょっとした変化に気を配って接する事が、老犬ホームには 必要になります。 盲導犬や繁殖犬を引退した犬は、ほとんどが老犬ボランティアのお宅で飼育されます。 犬がボランティアさんの家に引き取られ、愛情いっぱいに暮らしていく事は子犬でも 老犬でも変わりは無く、幸せを感じているそうです。 この日の見学では、とてもたくさんの事を知ることができ、勉強になりました。 (見出し)繁殖犬ボランティア 佐山さん&グレイス 繁殖犬ボランティアの佐山さんの家にインタビューをしに行くと、早速繁殖犬のグレース が玄関で尻尾をパタパタと振りながら、出迎えてくれました。 佐山さんが繁殖犬ボランティアをした理由は 「最初にパピーウォーカーをして、その時にグレースが来ました。 けれどその子の判定が盲導犬では無く、繁殖犬だったので、その流れでやろうと思い」 始めたそうです。 盲導犬の適正評価に外れてしまった犬や、グレースのように繁殖犬の方が向いていると 判断された犬は、パピーウォーカーさんを最優先に引き取られます。 繁殖犬ボランティアの仕事は、「繁殖犬のメス犬が年に2回生理が来て、 その内のどちらか1回にオス犬と交配をして出産をし、 産まれた子犬を50日間育てる事です。 気をつけていることは、 子犬の体重を毎日量っていて、一匹一匹体重に差をつけない事です。 医療費は盲導犬協会が出してくれます。 交配では、全国から、また、タイや韓国などの世界各国から日本の盲導犬協会に犬が 送られてきています。」 そんな佐山さんのグレースの子犬に対する願いは 「できれば100%盲導犬になってほしいけど、10頭いたら、2、3頭しか盲導犬に なれないので大変だけれど、ぜひ視覚しょうがい者の目の代わりになってくれる盲導犬に なってほしいです。」と話してくれました。 (見出し)パピーウォーカー 加藤さん&シンディ 「今まで犬を飼った事が無く、飼うなら大型犬を飼ってみたいと思っていました。 その時に盲導犬協会の記事が新聞に載っていて電話をかけ、 初めてで何も分からないのですが、いいですか?と聞いた所、 大丈夫ですよ。と言ってくれたので、パピーウォーカーを始めました。」 と加藤さんはパピーウォーカーを始めた理由を話してくれました。 パピーウォーカーの仕事は「産まれてから訓練に入るまでの2ヶ月から1歳少しまでの 子犬を、かわいがってあげる仕事です。簡単なしつけもしています。」 また、 名前には決まりがあり、「産まれる順番にアルファベットで名前を付けるのですが、 シンディの時はC体で、Cを頭文字にして名前を付けて下さい。 と協会の方に言われました。」 シンディの性格は「家の中ではやんちゃですが、実は恐がりで、 遊ぶのが大好きな子です。」 と加藤さんがインタビューに答えて下さっている間にも、 シンディはケージから飛び出していて、私の所にも乗っかってきたりと、 とてもそのやんちゃぶりを出していました。 「気をつけて育てている事は、 人が好きになれるように、楽しく過ごせるように育てています。 シンディには、ユーザーさんの役に立って、 ユーザーさんの心の支えになってくれるような盲導犬になってほしいです。」 と話してくれました。 (見出し)ユーザーさんからのメッセージ 八島さん&ルイージ 八島さんが盲導犬を持った理由は、「一人で外を歩くためです。」 いつも奥さんに病院へ連れて行ってもらっていた八島さんは、 一人で病院へ通いたいと思い、盲導犬を持とうと思ったそうです。 「盲導犬と歩いていて変わった事は、歩くスピードです。また、盲導犬との共同訓練、 歩行訓練では、今までずっと家の中にいて、あまり運動はしていませんでした。それが、 訓練では盲導犬と朝晩1㎞歩くようになったので、 疲れてしまった時もあります。また、盲導犬についての知識、命令語を覚えなければ ならなかったのも大変でした。」 八島さんが犬と接する時に気をつけている事は「愛情を持って接し、歩いている時には、 ちゃんと信頼をして、歩いています。」 八島さんの普段の生活は「冬の時期の雪道や、凍ってしまった路面を歩く時は、 たとえ盲導犬がいても何処が滑るのか、滑らないのか区別がつかないので、 不安になります。」 もう一つ、「前方に水たまりがあった時には、犬自体がよけてしまい、逆に私が 水たまりに入ってしまった事はよくあります。」 と愉快そうに笑いながら八島さんは話してくれました。 八島さんが不便に思っている事は、 まだまだ盲導犬と一緒にお店へ入れない事がある事だそうです。 どこでも自由に、何でも出入りを出来るようにしてほしいと話していました。 最後に、もし街でユーザーさんと盲導犬に出会った時に、小学生の私たちにも お手伝いできる事を聞いてみると、 「たくさんあります。信号を教えてくれると助かるし、ボタンを押してもらって、 青になりましたよと声をかけてくれると、これも助かります。」 と答えてくれました。まだまだ他にもお手伝いを出来る事があると思います。 (見出し)リタイア犬飼育ボランティア 岡部さん&ララ 岡部さんがリタイア犬のララちゃんを引き取った理由を聞くと、 「もう私達も年寄りだから、子犬から飼うには長く面倒を見なくてはならないので、 それは無理かなと思っていました。それで盲導犬をリタイアした犬の方が、 最後まで見れるかなと思ったんです。」 と話して下さいました。 「今まで大変なお仕事をしていたララなので、後はのんびり、ゆっくり一緒に余生を 過ごしたいですね。」と話してくれました 岡部さんとララちゃんの生活は 「楽しいですよ。ララは今でも規則正しく、仕事が大好きなんです。 ちゃんと言うことを聞いてくれますよ。“イス”と言うと、顎をイスに乗せ、 イスの場所を教えてくれたり、盲導犬の頃の名残なのか、今でも交差点で一時停止を してくれるんですよ。あと、ララは歩く事が好きなんです。歩いたら止まること無く、 歩調に合わせてくれるんです。私も歩く相棒だと思っています。 朝夕5㎞散歩しているおかげで、体重が12㎏も減りました。」 と嬉しそうに話す岡部さん。 「ララはおとなしいので、近所の子供達と仲良しなんですよ。 本当に訓練されている犬は、すばらしいですね。」 私がインタビューをしている最中でも、ララちゃんは横でふせをしていて、 じっと待っていて、本当におとなしかったです。 岡部さんご夫妻とララちゃんは、とても充実した日々を送っているように、 私は感じました。 (見出し)あとがき 私がこの新聞を作るに当たって、“盲導犬”と言うつながりから、 たくさんの人に出会って、お話を聞くことができました。 まず、私にユーザーさんと会わせてくれる機会を与えて下さった、 スクールコーディネーターの竹形さん、本当にありがとうございました。 もっと皆さんに伝えたい事は山ほどありましたが、 新聞に書ききれなかったのが残念です。 けれども、 この取材を通して、たくさんの方々の盲導犬に対する思いを知ることができました。 そしてたくさんの小学生に盲導犬の事を知ってもらい、もっと身近に盲導犬の事を 感じてもらえればと願っています。 追伸 この新聞は北海道新聞社に送って入賞をすると、道内で入賞作品の展示され、 たくさんの小学生に見てもらう事になります。 なので入賞を目指して、頑張りました。 入賞の発表は、10月8日 土曜日の北海道新聞です。 2011年 9月 9日 千歳市緑小学校 内藤 朱莉 ※入賞してより多くの小学生にこの新聞を読んでもらいたいですね…!
by wappagamama
| 2011-10-23 22:02
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