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「どんこ」?


 「どんこ」? 「どっこ」? あれ どっちだったかな?

いづれにしても、このことばがぴんと来る人はいますか?
そう 北海道の方ではなじみのことばだとおもいます。
私もかつて北海道にいたころ時折ご馳走になりました。

 秋田で はたはたが地元の食材のように、北海道にいたころは、「どんこ汁」が季節になれば「これを食べなけりゃ」というなじみの食材ではないでしょうか。


 北海道にいたころは、親しくお付き合いをさせていただいていた、お花の先生の夕食によくおよばれをされて、地元のものをご馳走になりました。
私にとってはとても懐かしい食材です。
 今となっては、 私の思い出としてひっそりと記憶の奥で消えかかっていたものでした。
そんな 幻のような「どんこ」が、つい先日 私の目の前に現れたのです。

 調理前の現物を見たのははじめてでした。
そういえば、「調理したから 食べられるけど、生のままだったら見ないほうがいいよ」といわれたのを思い出した。
なるほど! 流しの中に氷と一緒にドサドサと躍り出たその物体!
30センチ以上もあるその大きなぬめぬめしたもの。
全体の3分の一くらいが頭?。
調理をするのに触らないわけにはいかない。
魚を裁くのは嫌いではないので昔からよくやっていたので何気なく作業をしようと思っていたが、「いやぁ 気持ち悪い!」
ぬめぬめしているので手をかけるところが必然的に目玉になる。
ドロンとしたその大きな目。
少してをずらすと、でっかい口!
小さくとんがった歯がぎっしり並んでいる。
尻尾のほうは極端に細く存在感が…。

「 頭の中に入っている味噌が一番おいしいからね」といわれていた。
ぬめぬめしているのでうろこなどなさそうだったけど、教えられたままになんとかさばいていた。

一番大きいのを裁いている最中、息子がやってきた。
「チョットチョット見て見れ めづらしいものみせる」という私の言葉に、流しの中を覗き込んだ息子。「なえよ これ?」と彼も見たことのないものをいたような不思議そうな反応。

 「どんこ」とその名前を聞いたとたん「あぁなつかしいぃ これがどんこが?」と
彼も 南三陸の仕事仲間の家出ご馳走になったことがあるとのこと。
はらわたの中から大きないわしが出てきたのを見て、彼は私のてから包丁を取って、引き続き3匹ともきれいにさばいてくれた。

 新鮮なうちに、鍋に入れ味噌仕立てでみずとの「どんこ汁」が出来上がった。
深海魚のどんこは、いいだしが出ていて、ヒトすす利したとたん「なつかしいぃっ うんうん この味!」
味わったときのスチェーションが全く違う息子と、不思議な懐かしさに浸った。

 この「どんこ」を届けてくれたのは、3月に震災にあった陸前高田市の綾ちゃん。
今は湯沢市内のアパートに家族3人で身を寄せている綾ちゃん。
「今日 息子が陸前高田に行ってきたの、今朝アガッタバカリノ新鮮なものだから」といって、持って来てくれたものだった。
深海魚なので新鮮さを保つのが難しく、店頭販売はしていないのだとか。おそらく 知り合いの漁師さんから分けてもらってきたのではないかと察する。
被災者としていろいろ大変なときに、「食べさせたいから」と手に入れてきてくれたであろうその「どんこ」
その綾ちゃんの思いと、息子さんの気持ちも加わってその「どんこ」の味にはまたひとつ忘れられない大切な思い出が加わった。
by wappagamama | 2011-06-23 08:24
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