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札幌のN先生のHPから「全盲男性線路に転落死」


 久々に札幌のN先生のHPを覗いたところ、「全盲男性ホームから転落死」に関しての記事が載っていた。

 とても興味深い記事だったので、いつものように無断拝借してきました。
日にちはずれていますの。
ここから貼り付け

さて、今日(17日)の朝刊・社会面をご覧いただきたい。
きっとどこかに『全盲男性線路転落死亡』の記事があると思う。
最寄の駅を乗り過ごした全盲夫婦が、逆方向の電車に乗り換えるため下車した駅で、ホームを移動中にご主人が線路に転落し轢かれて死亡した、という記事である。

故人のことを私は存じ上げないが、2つのことが頭から離れずにいる。

ひとつは専門的なこと。
・駅のホームの形状をイメージしていただきたい。
(1番線のように)線路があり、背中が壁になっているホームを思い浮かべた方がおられよう。
一方で、線路と線路に挟まれたプラットホームをイメージされた方もおられただろう。

前者を『壁型』後者を『島型』という。
目を閉じてごらんなさい。
その違いを把握しなかった場合の怖さが分かると思う。

さらに、この事故において仮に故人が『島型』と把握していたとして想像して欲しい。

『乗り過ごした!』と慌てた全盲夫婦が下車し、向かいの電車に乗って戻ろうと『島型』のホームに降り立った。
その時、向かいに電車が停車しドアの開く音が聞こえたとしよう。
きっと私でも一瞬、『向かいの電車に乗り遅れたくない』という心理が働き、急いでホームを横切ることだろう。

だが、その音が実は向かいのホームではなく、さらにその先のホームに到着した電車だったら…?

事実関係はこの先明らかになるだろうが、慌てた時にそのような錯覚によってホームから転落し、その後にやって来た電車に轢かれて視覚障害者が死亡するケースは稀ではない。

頭から離れないふたつめのことは情緒的なことであり、記事に書かれたことから連想された。

転落して轢かれ、亡くなったのはご主人でありその奥さんは彼が背負ったリュックに手を添えて従いながら歩いていたという。

視覚障害となった人間同士が心引かれ、これからの人生を共に歩んでゆく決心をしたご夫婦を私はたくさん知っている。
暮らすだけでも大変な苦労があるはずだし、子育てともなると想像をはるかに超える現実も知っている。

そんな強い夫婦は決まって行動力があり、外出の時両手を使いやすいようにリュックを背負う。
そして妻は亭主の背中に手を沿え、会話をしながら安心と危険な現実を共有しているのだ。

その亭主が線路に落ち、死んだ。
気が狂いそうになる叫びが頭から離れない。
『目が見えない私達が夫婦となり、懸命に生きているのに何故、何故こんな仕打ちを受けなければならないのだ!』
by wappagamama | 2011-01-30 13:38
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